「赤ちゃんを育てる」 ユニークな授業
海外の学校では、日本とは異なる様々な授業、カリキュラムが組まれています。特にカナダの公立高校では、学問に重点をおいた授業と、職業訓練の基礎となる実践的な授業が両方とも行われている事が特徴的です。学生達はそれぞれの進路にあわせて、毎年科目選択を進めていきます。大学進学を目的とする場合には各大学の規定するレベルの科目を履修して良い成績を取るよう努力し、仕事に就く事を目的とする場合には各々に必要な実践的な授業を履修して将来に備えます。
カナダのオタワに留学中のT君は、"Parenting"と呼ばれる、ユニークな授業を昨年履修しました。これは日本で言うと、「保育」の授業です。各学生は、自分の赤ちゃん=乳児の人形をあてがわれ、決められた期間、面倒を見なければなりません。この人形の凄いところは、寝たり泣いたり、本当の赤ちゃんさながらに行動できるハイテクな所です。よく泣く赤ちゃんや、睡眠が短い赤ちゃんなど、それぞれの「個性」まで設定されています。各学生は、赤ちゃんが泣いたらあやし、離乳食を作って食べさせ、排泄の面倒を見、夜泣きをすれば起きて、その全記録を提出することになっています。赤ちゃん人形一体ずつにチップが埋め込まれていて、どこに人形があって、どんな状態なのかを先生が把握できるそうです。
もちろん、学校に行って授業を受けるときも一緒。
授業中に泣き出したりしたら大変ですね。夜は睡眠不足になったそうです。
面白いのは、通学に使うバスの中では、「赤ちゃん連れ」という事で優先席を利用できるのだそうです。カリキュラムのユニークさだけでなく、周りの理解・協力が大きいという点にも驚かされます。
高校生の男の子が毎日一生懸命赤ちゃんをあやし、面倒を見ているところを想像すると、微笑ましい気持ちになります。
赤ちゃんの育て方をきちんと教わるという発想は、斬新に写りました。が、人として生きていく上で必要な、真に「実践的」な教育だとも感じました。ニュースで育児放棄などの痛ましい事件を目にする事が増えた昨今、留学を通して、「学問」に限らず多様な事を学べるというのは大きなメリットではないでしょうか。

あまり可愛らしいお人形とは言えませんが・・・