University of Amsterdam(国立アムステルダム大学、オランダ)で学ぶ - 吉田武生さんの体験記
私は都内の公立中学卒業後、UWC ISAK Japan(ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)に進学し、同校を2020年に卒業しました。大学はコロナ禍でオンライン授業だったため入学を1年延期し、2022年対面授業の再開に伴い、オランダに渡航しました。なぜ、アムステル大学を選んだのか?また大学生活で得た友人の話をご紹介します。
なぜ アムステルダム大学?
私がアムステルダム大学を選んだ理由は複数あります。
まず、自分が専攻しているBusinessの学問レベルが世界の大学の中でも高いことです。更に1632年設立という長い歴史がある一方、学生数約35,000名のうち、5,000名が留学生で多様性溢れる教育環境を提供しています。生活は英語で問題ありません。
その背景として、オランダは国土の20%以上が13世紀以降の干拓事業によって自力で造り出された土地で、現在も30%は海面下にあります。土地が狭いため、輸入したものを再輸出というビジネスでロッテルダム港が発展し、ヨーロッパのハブとなりました。制海権を握り、貿易で世界を支配したい、と考え1602年にオランダ東インド会社を設立しました。世界で初めての株式会社です。地政学的にもヨーロッパの玄関口として、今なお欧州最大の貿易港です。
オランダの文化や国民性を見ると、良いと思うと決定が速く、実行に移せる環境があると思います。人種の多様性があり、同性婚が世界で最初に合法化された国です。暗号通貨の法整備も迅速に進み、ビジネスのスタートアップをしやすいと言えます。ビザが取りやすく法人税が低い。EU全体をターゲットにした展開が考えられるので、特にソフトウェアのような、ワールドワイドな製品を手掛けていれば、よりメリットを享受しやすいでしょう。かつてはイギリスを拠点にEU市場へ進出する企業がありましたが、ブレグジット(イギリスのEU離脱)以降、オランダを選択する会社が増えているようです。
アムステルダムはアートの街
更に私はアート文化のある都市に住みたい思いがありました。アムステルダムにはゴッホ美術館やアムステルダム美術館をはじめ、歴史的、科学的博物館が数多くあります。街の所々にアートが機能的に展示され、緑や水辺の美しい風景と煉瓦造りの古い建造物が一体化し、独特な雰囲気を醸し出しています。伝統的、あるいは前衛的なアートから受けるインスピレーションを日々味わえる街です。
世界各国から集う野心的な学生たち
大学には様々な背景を持つ学生がおり、私のルームメイトはインド人です。親友は他にキュラソー人(オランダ領)、オランダ人、ドイツとアメリカのハーフ。キュラソー人はハングリー精神があり、ビジネスで成功したいという野心家です。アパートの隣人はウクライナ人とロシア人です。戦争で銀行口座が凍結され、家族を残しオランダに来たが、帰国できない、と苦労をしています。同じ仕事でも母国と比較すると給料が、倍以上高いため、この先のチャンスを狙っている人が多いと思います。将来革新的なビジネスモデルを構築し、社会に変革を起こす企業で働きたい、という夢を持った仲間から受ける影響は大きいです。
親友たちの話を聞きながら自分の将来を考えます。私は自分の強みであるコミュニケーション力とプレゼンテーション力を活かし、人と係る仕事に就きたいと考えています。日本を離れて見ると、人口の減少と極地化、そして移民政策の遅れ等で日本の経済は先細りに見えます。一方、日本の文化や精神性を誇りに思い、日本の良さがなくなって欲しくない、国があっても文化が薄れてしまうことがないよう、経済や文化両面から貢献したいと思います。
アムステルダム大学では、Business and Economics学部を3年間で終え、更に一年間で修士課程を修了する目標をもち、学校外での活動や人との出会いを拡げてゆきたいです。