留学先各校の新型コロナウイルスに対する取り組み(2020年7月)
前回、留学先の国々や学校の新年度再開に向けてのプロトコル(手順)の構築についてお伝えしました。
留学先各校の新型コロナウイルスに対する取り組み(2020年6月)
今回はその続報として、2020年7月現在の留学先各校の新型コロナウイルスに対する取り組みをお伝えします。
注意事項: 情報は記事公開時点のものです。各国の新型コロナウイルスの感染状況の変化などによって、国や地域、学校の対応が変更される可能性がありますので、ご注意ください。
ボーディングスクール各校の対応
北半球のボーディングスクールは、現在、新学期開始時期(8月下旬~9月初旬)に向けて、学校再開計画の構築が最終段階に入っています。世界の感染状況が日々変化するなか、全てを確定させるのは難しく、状況によっては予定の変更を余儀なくされる可能性もあります。しかし、学校は学生全員がキャンパスに戻ってくることを目標に、十分な安全対策を実施し、実行に移すべく尽力しています。7月に入りヨーロッパではサマースクールを開催している学校もあります。
南半球のニュージーランドは真冬の季節を迎えていますが、国内にウイルス感染源はなくすべての学校が通常通りの授業を行っています。
アメリカのボーディングスクール
アメリカは、日本からの渡航者に対して特に入国制限は設けていません。しかし、日本国内の米国大使館・領事館(領事部)では非移民ビザ申請の面接について「緊急面接」のみ受け付けています。7月に入りエディクムの学生は次々と緊急面接に臨み、F-1ビザを取得しています。アメリカへ入国はできるものの、入国後の対応は州の保健衛生局の指示の下、各学校に委ねられています。
キャンパス内で隔離期間プログラムを実施する学校もあれば、到着後、各自がPCR検査を受け、陰性証明書を持参し入寮を許可される学校もあります。更に学校生活開始後、新型コロナウィルスに罹患してしまうことを想定し、学校近辺、又は同一州内に地元に身元引受人(ガーディアン)を手配するよう求めている学校もあります。
カナダの各校も同様ですが、キャンパス内への立ち入りは学生本人のみとするところがほとんどです。例年、新入生は保護者の方が同行する場合も多いのですが、今年は単身での渡航が前提となる見込みです。
カナダのボーディングスクール
現在、カナダは外国人の入国を制限しています。6月30日、カナダ政府は3か月間継続していた渡航制限の1か月間の延長(7月31日まで)を発表しました。2020年3月18日以降に学生ビザを取得した学生も現時点でカナダへ入国することはできません。
2020年3月18日以前に発給された学生ビザを所持している学生は、一定の審査を経て渡航が許可されますが、入国後、渡航者全員に対し、2週間の自主隔離が義務付けられています。各学校は、学期開始時までに学生ビザを所持する全ての学生が入国できることを前提にキャンパス再開の準備を進めています。
西海岸ブリティッシュコロンビア州のSt. Michaels University Schoolでは、隔離期間プログラムを用意し、ホテル宿泊代金の一部を補助します。ホテル代の領収書を保管し、カナダ到着日、及び隔離期間の計画を入力するフォームの提出を求めています。
一方、東部ニューブランズヴィック州にあるRothesay Netherwood Schoolは、外国人留学生、及びニューブランズヴィック州、ノバスコシア州、ニューファンドランド州以外から入学するカナダ人学生を対象に、キャンパス内の寮を使用し隔離期間プログラムを行います。
新学期開始日の9月9日から逆算し、対象の学生は8月21から23日の間に学校へ到着することが求められています。
スイスのボーディングスクール
スイス連邦移民局は、7月16日に同国が7月20日から入国制限措置を解除する対象国21か国のリストを発表しました。日本は韓国やタイ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと共に今回のリストに入っているため、日本のパスポート所持者は通常通りの入国が可能となりました。Le RoseyやPréfleuri International Alpine Schoolでは、規模を縮小しながらも対面でのサマースクールを開催中です。また、8月末から9月開始の新年度の開始に向けての準備も着々と進んでいます。
オーストリアのボーディングスクール
ザルツブルグにあるAmerican International Schoolでは、7月19日からサマースクールの第1セッションが始まりました。参加者はヨーロッパ圏内を中心に約25名、例年よりも少なめですが、語学(英語、又はドイツ語)の習得と共にアクティビティや週末の小旅行を楽しんでいます。現在、ザルツブルグの新型コロナウィルス感染症の状況は良好で9月上旬には予定通り新学期を開始できるとしていますが、万一の状況悪化も考慮し、以下のような緊急時の代替案も策定しています。
- 開講日を10月1日、又は10月15日へ遅らせる(学年末も従来の5月から6月まで延長する)
- オンライン授業で開始する
- 混合型(オンラインとキャンパスでの対面授業の両形態)で開始する
新年度をどの案で開始するかについては、8月半ばに決定するとしています。
ニュージーランドのボーディングスクール
6月11日からレベル1(特に制限なく仕事や学校、スポーツ、国内旅行を再開することができ、集会の参加人数の上限もない状態)へ移行して以来、通常通りの学校生活が展開されています。6月末、又は7月第1週目から学期間の休暇を挟み、7月20日から第3学期が始まりました。
多くの学校が今学期に上級生を対象としたスクールボール(ダンスパーティー)を予定し、例年と同様に開催されます。国内に新型ウイルスの感染源はないとされているため、参加人数や場所に関する制限は特にありません。しかし、留学生にとって気になるのは「今後、国境がどのタイミングでどのように開放されるのか」という点です。
また新規でニュージーランドへ渡航を予定している方々にとっても、入国後の隔離措置や期間がどのような形となるかも気になります。同国では9月に総選挙が予定されており、その結果が判明するまでは国境について言及されることはないのでは、と考えている国民も多いようです。
各学校は学生と教職員、そしてコミュニティーの安全と健康を守ることを最優先に、可能な限りの感染症対策に取り組んでいます。また次に大切なこととして、生活全般を通じて心身の健康を育みながら、自分たちが実践し培ってきた質の高い教育を提供することを掲げています。多くの寮制学校は人口が少ない郊外や豊かな自然に恵まれた場所にあるため、その点を楽観的に捉えつつ、それぞれの学校の長い歴史、継続し共有してきた価値観を今こそ発揮してこの困難な時期を乗り越えよう、という気概に満ちています。
今後、報告していく予定の内容
次回は北半球の学校へ戻る、または新規で出発する皆さんの様子をお伝えできればと思います。日本は7月半ば時点で、全国的に感染者数が増加傾向にあります。各国の入国に関しては、渡航者の出身国の感染状況も注視されますので、諸外国からの日本の評価も気になるところです。